AIに分類される社会で、“自由な思考”は不適切扱いされる

2035年。マイナンバーは“マインドナンバー”に進化し、国民一人ひとりの価値観・思考傾向を記録・管理する仕組みが当たり前になった。
それは効率的な社会のためか、それとも管理社会の完成形か。境界は、いつだって曖昧だ。

…なんて、よく妄想するんです。
今回はAIと迎える未来の話、ちょっとだけ政治にも踏み込んで妄想していこうと思う。

思考すら国家管理される時代に、私達は何を考える自由を持つのか

マイナンバーは、“便利”という名のスーツを着た管理だった

ある日、役所で言われた。「本人確認にマイナンバーが必要です」と。
渡すカードには、名前も住所も生年月日も、顔写真すら刻まれている。国家が私を“個人”として認識するためのタグだ。便利で効率的、なんて素晴らしい。

けれど、そのカードを手渡すとき、ほんの少しだけ背筋が冷えた。「これがあれば、誰でもあなたを証明できます」と言われた瞬間に、“誰でも私を識別できる仕組み”が既に完成していたことに気づいたのだ。

国家は、「管理」の話をするとき、決まって「安心」「効率」「セキュリティ」と言う。
でもそれは、“疑われる側”が聞かされる言葉だ。
そして私たちは、疑われる側に分類されたことに、あまりに無頓着だった。

……まぁ、こんな偉そうに語ってるけど、私自身はマイナンバーカードまだ作ってないんですけどね
全部妄想でしかないのが、ちょっと申し訳ない。

“あなたの思考傾向は分類されました”──国家が心を選別する未来

2038年、日本政府はマイナンバー制度を大幅にアップデートした。
「統合型市民解析システム」、通称MIAS(Mind Identification & Allocation System)
これは単なる番号じゃない。人間の思考傾向、感情傾向、過去の行動データを組み合わせ、国民一人ひとりを“思考カテゴリ”に分類するAI解析制度である。

MIASが導入された当初、ニュースはこう伝えていた。「適材適所が加速する」「職業ミスマッチが減少」「社会の安全が高まる」。
実際、ある程度の成果もあった。
“創造性高・反抗性低”とされた者はクリエイティブ産業へ。
“秩序志向・従順性高”とされた者は公務員へ。
分類はAIによる完全自動。本人の希望や過去の経歴は、あくまで参考に過ぎない。

だがある日、私のスマホにこんな通知が届いた。
「あなたの思考傾向が“懐疑性強・扇動傾向中”と再分類されました」

……その日から、SNSの発言に自動検閲が入るようになった。
「公共的懸念のある単語が含まれています」
「この文章は『集団的疑念を助長する恐れ』があります」

なんというか、正しさって、AIが決める時代になったらしい。

誰もが“何を考えているか”を記録され、
“どんな職業がふさわしいか”を提案され、
“何を言うべきでないか”を指導される。

……まぁ、こんな妄想は、たぶんSF小説の中だけで終わってくれると思いたいけど。
ただ一応、今の時点で“あなたの顔写真付きデータ”がクラウドにあるって話、忘れないでね。

“安全”の名のもとに、私たちは疑う力を手放したのかもしれない

この社会は、よくできている。
犯罪発生率は過去最低。失業率も劇的に減った。
子どもがどんな将来を歩むかも、MIASが5歳の時点で予測してくれる。
不安の少ない社会。統制の取れた社会。

……だけど、なぜかみんな疲れている。

言葉を選ぶことに慣れて、発言する前に“自動倫理チェック”が走る日々。
誰かと話すたび、「この人の思考カテゴリって、どっちなんだろう」と無意識に測る癖がついていた。

何が正しくて、何が不適切なのか。
それを決めるのは、もはや自分じゃない
「AIがそう言っているから」「国の指針があるから」
そう言えば、すべての会話が終わるようになった。

ある友人が、ぽつりとつぶやいたことがある。
「俺、最近“疑問”が湧かなくなってきた」と。

それは、思考の進化じゃない。飼い慣らされた証拠だった。

国家が提示する“安心”と“効率”は、決して間違っていない。
だけど、その正しさの中に、「違和感」や「反発」や「問い」は居場所を失ってしまった。

選んでいるつもりで、選ばされているだけかもしれない

AIは優秀だ。人間の思考パターンを分析し、最適な道を提示してくれる。
「この性格なら、この仕事が向いています」
「この傾向なら、こういう発言は避けましょう」

ありがたい。便利だ。間違いがない。
……でも、それって本当に“私の選択”なんだろうか?

ふと、思う。
この人生、この考え、この選択肢──全部“選ばされた結果”じゃないのかって。

もし今の自分が、「懐疑性強・扇動傾向中」に分類されていなかったら。
もし“思考カテゴリ”が違っていたら、
私の感じてるこの違和感すら、“不具合”として修正されていたのかもしれない。

きっとこの先、もっと制度は洗練されるだろう。
「最も幸福な社会とは何か」が科学的に定義され、
その答えをベースに国民は導かれていく。

……でも、私はその“正解”を、選びたくなかった。

欠けていても、迷っていても、
無駄な怒りや、意味のない疑問を抱えていても。

そういう“余計な思考”が、自由ってやつなんじゃないかと──
たまに、そんな妄想をしてしまう。

終わりに

冒頭でも言いましたが、完全な妄想です。ありがとうございます。
とは言え…マイナンバーカードが出てから、免許証とも合体するって話が出た時から
いずれこうなってくるんじゃないかと。

……私は作ってませんけどね!

某国では評価制度みたいなのが既にあるらしいじゃないですか。本当なのかはさておき…。
なんにせよどこかの国が始めた事が、次第に他の国に広まっていく。
そして別の国のやっていた事に賛同してまた広がる。
これの繰り返しですよね。

そしてとある時代に、「AIに全てをお任せするシステムができました!」
これを堂々と発表する国や会社が出てきたらもう大変。
私の妄想が妄想じゃなくなっていってしまう、と。
まぁ、映画とか人が妄想できることって全て実現可能だって言われてますし
きっとこれも妄想じゃなくて……

どこかの世界線では運用されてるかもしれないですね。

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